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(R18) 行かないで青春 (HQ)

第20章 最愛(Moulin Rouge完結篇)




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   【prologue】



 絶望の中にいた。

 信じられることなんて、ひとつもなかった。周囲にいる人間はすべて等しく、血縁関係にある親ですらも、信頼に値するには程遠かった。

 ずっと独りで生きてきた。

 それでいいと思ってた。
 そう自分に言い聞かせていた。

 寂しいとは、思わなかった。






 あの日──

 忘れもしない、冬の、とある夜。



 俺は君に出会って、心を知った。








 不思議な感覚だった。

 それはまるで、じわりじわりと、渇いた土地に水が沁み渡っていくような。
 モノトーンだった世界が、少しずつ少しずつ、色で溢れていくかのような。


 初めての、温もりだった。


 彼女が悲しそうな顔をする。
 胸が引き裂かれたみたいに痛くなる。

 彼女が恥じらいの笑みを湛える。
 気が狂いそうなほど愛しいと思う。

 彼女の静かな寝息、伏せた睫毛。
 ──手離したくなくて、苦しくて。

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