• テキストサイズ

(R18) 行かないで青春 (HQ)

第3章  はみだし者のバラッド (R18:田中龍之介)



 ど、どど、どうしよう。

 これは由々しき事態だ。

 寝ぼけているのだろうか。俺の胸板に擦りよって眠る彼女は、時折、心地いい場所を探すかのように身じろぎをする。硬直した俺の両脚を、彼女の太腿(しかも生足)がガッチリホールドする。

 こすれあう、肌。

 彼女が身を捩るたびに、俺がここから逃れようとするたびに、こすれる。衣擦れの音。存在を主張しはじめた下半身に感じる、彼女の温もり。


(もーーーだめだ……!!!)


 限界だった。我慢の。
 理性の糸はふつと切れたし、リトルマイサンは爆発寸前だし、彼女すげえ可愛いし。

 チュー! チューだけなら!

 何がどうしてキスだけなら許されるのかは分からないが、いまの俺には何某かの理由が必要だった。

 彼女に、触れるための理由が。

 いいじゃんいいじゃんちょっと休憩していくだけだから、絶対ヤらないから、先っぽだけだから、の原理である。


(た、田中龍之介、イッキまーす!)


 そんな馬鹿みたいな掛声を小声で叫んで、いざ、彼女の唇にフェードインしようとした。したのだけれど──

 ああ、なぜ。

 またも叶わない俺の行為。
 ふと目に留まってしまった彼女の足元。小さな小さな足を覆うその上履きには、びっしりと悪意のある落書きが施されていた。

/ 454ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp