第19章 幻怪(R18:月島蛍)
ぐぐと花唇が割られた。
左右に、前後に。
熱で猛った屹立に侵される。
後ろに伝い漏れるほど濡れていた秘所はあっという間にそれを咥えこみ、きゅうと締めあげて彼に刺激を与えた。
最奥まで到達して、直後。
首元に違和感。
圧迫される、頸動脈。
「……っ、……?」
苦しさと、困惑と。
彼にされていることの意味が理解できずに思考を彷徨わせる。
首、絞め、なぜ?
「大丈夫、……すぐにヨクなるから」
彼のその一言で、ああ、と理解した。
これはある種の戯れなのだ。
いわゆる、性的倒錯のひとつ。
「……っ、ん、……っう」
「……きもち、いい、デショ?」
「っん、……うん、」
故意の窒息によって引き起こされる半幻覚状態。
それは性的刺激と合わさることによって強い快感と幸福感を生み、身体を、脳を、犯していく。
なんて甘美で、なんて危うい。
麻薬に溺れているかのような悦楽。
「……っ、ん、……っんん」
声が出ない。
息が吸えない。
苦しい、なのに、きもちいい。
意識が遠のいていく。
快感が這いあがってくる。
「っ、……絢香、出すよ」
「……っ、……ん、っ」
わずかに歪んだ彼の目元。
きつく抱き絞められる感覚と最奥に注がれる熱を享受して、私も共に花を爆ぜさせた。
あ、堕ちる。
そう思ったのを最後に手放す意識。
閉じる寸前の視界に映りこんだのは、夢に浮かぶ幻。
妖しくて、熱い。
月光によく似た彼の瞳だった。