第18章 陽炎(R18:カレカノ理論III)
ビーチに戻ってみるとすっかりオープン準備は終わってて、案の定、俺と絢香は黒尾に怒られた。
もうすげえ怒られた。そんなに怒んなくてもいいじゃんかよ、ってくらい怒られた。
黒尾は怒るとマジで怖い。
いや怒ってなくても怖えけど。
黒尾のオシゴトはあっち系の幹部だし、イベントやら何やらを運営してんのは組の資金にするためだ。
要するに危ないお友達である。
すごく危ない。うん。
「……てめえら、生きたまま沈む覚悟はできてんだろうなァ」
「いえ出来てません」
「マジでスンマセン」
「絶対許しません、つーかブッコロス」
物騒!言葉が凶器!
顔も凶器レベルに怖い!
いやウソ!今のウソ!
とか、なんとか。
絢香と二人で砂浜に正座させられて、スミノフ片手に怖え顔してる黒尾に説教されて。
ほわり
香るのはバーベキューの匂い。
商売繁盛を祈願する前祝だ。にろくんがせっせと肉を焼いてるのが見える。
「そろそろ許してくださいよ!」
「そだぞ黒尾! 俺は肉が食いたい!」
「あ? 働かざる者は正座しとけそして食うべからずだバカヤロー」
「足が痺れて限界だし砂だらけです!」
「そして俺は肉が食いたいです!」
「お前さっきから肉のことしか言ってねえじゃねえか!」
このあと、見かねた海岸地区の覇者こと牛島くんが助けてくれて、俺と絢香は無事に黒尾から解放されたんだけど──