第18章 陽炎(R18:カレカノ理論III)
セックスがこんなに嬉しいことだなんて、知らなかった。彼女が教えてくれた。絢香じゃなきゃ、気づけなかった。
「……っ光太郎、きもち、いい?」
「ん、絢香んなか、……っ最、高」
恥ずかしげもなく喘いで。
きもちいいよって囁いて。
お互いの名前を呼んで、抱き寄せて。
愛したいと思える相手がいる喜び。
そのひとから愛してもらえる喜び。
俺は絢香に出会ってからたくさんの「うれしい」を教えてもらった。こうして繋がることだってそう。
うれしいんだ、俺。
「光太郎、キス、……っして?」
絢香が俺で善がってくれるのがうれしい。絢香が俺を求めてくれるのがうれしい。
俺にしがみつく絢香の小さな手も、キスをせがむ唇も、ぎゅううって締まるなかも、全部俺と繋がってる。
俺たち今、ひとつなんだ。
それが何よりもうれしい。
うれしくて、胸がいっぱいで、ええと。こんなとき何て言えばいいんだろ。
「あ、んんっ、もう、私っ」
「……っ、イッちゃいそ?」
「うん、っでも、一緒がい、っ」
一緒がいい、か。
あ、なんか分かった気がする。
「──……っ俺も、もう出る」
「っ、ちょうだい、っ光太郎」
一番深いところで繋がって、何よりも大切な彼女と「きもちいい」を共有して、これでもかってくらい抱きしめて。
うれしくて。
胸がいっぱいで。
そんで──
「絢香、俺ね、」
「………?」
「いますげえ幸せ」
俺と出会ってくれてありがとう。
そう思うんだ。