第18章 陽炎(R18:カレカノ理論III)
好きだから、繋がりたい。
溢れだした初めての感情は止めどなく、込みあげて、迫りあげて。
この人に抱かれたい。
この人で満たされたい。
この人を愛したい。
身体の繋がり、だけじゃない。
こころを結びたいの。
だから、あなたとひとつになりたい。
「……っ、絢香、マジでいいの?」
星降る夜のプライベートビーチ。
辺りを照らす月光から逃げるようにして、私たちは岩陰に身を隠した。
二人収まるのがやっとの空間。
彼に承諾を求められる間すら惜しいとせがむキス。離さないで。離れないで。
ずっとその熱を感じていたい。
どうしてだろ。
私、余裕ない。
「っはや、く、光太郎」
「……、え?」
「ほしい、の、光太郎が欲しい」
今まではねだられてばかりだった。
光太郎が求めてくれるから、私はそれに応じる。光太郎がキスをしてくれるから瞳を閉じて、光太郎が愛を注いでくれるから全力で受け止めていた。
でも、そうじゃなくて。
享受、するだけじゃなくて。
「え、ちょ、危ね、っ絢香、」
ドサッ!と音を立てたのは背中。
いつもみたく私の、じゃない。
広くて大きな、光太郎の背中。
「──……っ、……絢香?」
こちらを見上げる左右のゴールド。
戸惑いと期待に、揺れている。
初めて、彼を、押し倒してしまった。