第3章 はみだし者のバラッド (R18:田中龍之介)
ああ、神さま。
いや、もう神さまでも仏さまでも誰でもいいから、だれか、この状況を説明してくれ。
「……っ! ……っ!?」
なにが、どういうワケで、俺は。
「……!? ───!!?」
女子のおっぱいに顔を押しつぶされているのでしょうか。柔らかい。そして柔らかい。匂いなんてお花みたいだ。
上は洪水、下は大火事。
これなーんだ。
答えはお風呂ではない。
男子の理性と本能の葛藤である。
揉むべきか。揉まぬべきか。いっそこのまま欲のままに襲ってしまうべきか。
そんなことを冷静かつ迅速に考える脳みそとは裏腹に、俺の俺はスタンバイ完了バッチコイ。目標をロックオンした主砲が、発射のときを今か今かと待ちわびているのだ。
なあ、ノヤっさん。
ノヤっさんなら、こんな時どうする?
師匠ともいうべき友の顔を浮かべて、直後、彼なら決して襲ったりはせずに紳士的な対応をするだろうと思い至った。
ふ、俺もまだまだ未熟だな。
「……っ、おい、大丈夫か」
俺に覆いかぶさっていた女子の身体を、そっとそっと退かして声をかける。返事はない。それどころか、意識もない。
──意識がない!?
よくよくみれば彼女の顔は赤よりも赤く、その呼吸は頻回で、とても苦しそうだった。あれ、この症状って、たしか。
──熱中症だ。