第3章 はみだし者のバラッド (R18:田中龍之介)
なんつう挑戦的なパンツなんだ。
思う、そして考える。
もしも自分に彼女が出来たとして、その彼女があんなパンツを履いていたらどうだ。けしからん。誠にけしからんぞ。だがそれがいい。
瞬速でそこまで考えて、ハッとした。
俺がここに取り残されているということは、彼女も境遇を同じくする仲間である。要するに、俺はいま、この屋上にあの女子と二人きりである!
『お嬢さん、そんなところに乗っていると危ないですよ。さあお手を……僕が下ろしてさしあげましょう』
颯爽と右手を差し伸べて、彼女をお姫さま抱っこしている自分を想像した。んん、我ながらカッコイイ。実に紳士的だ。
イメトレは完璧なワケなので、あとは実際に台詞を言うだけである。がんばれ俺。男を見せろ俺。
よし、いざ参らん──!
「お、おおっ、お嬢さん!!!」
「…………お嬢さん?」
「そんにゃ、そんなところに乗っ」
刹那、グラリと何かが揺れる。
その何かが彼女だと気づく前に、一歩踏みだしていた。降ってくる。落ちてくる。突然バランスを崩した彼女を俺は両腕で──
ドシャッ
「う、ぐへえっ……!」
受け止めようと思ったがそれは叶わず、文字どおり全身全霊で彼女を受けとめた。ガッデム。