第16章 遊戯(R18:国見英)
彼の先端が、花唇に口付けを。
やけにつるりとしたラテックスの感触がなかを押し広げて、やがて私たちはひとつになった。
「っぁ、ん……、……っ!」
私は、待ち望んでいたのだろうか。
悦んでいるのだ。
身体が、喘いで。
男というものを受けいれるのはこれが二回目なのに、まるで、随分と前からこの快楽を知っていたかのように溺れる。享受する。
彼自身から与えられる快感と熱を一身に感じて、決して離しはしないと絡みつくのだ。
ひどく淫乱で、動物的。
「……っ絢香、きもちい?」
英くんの小さな問いかけに首だけを二度、こくこくと縦に振って答えた。
きもちいよ。
本当は甘く囁きたい。
私が切なげに下げた眉にキスをしてくれる彼。華奢に見えるのにしっかりと筋肉をまとった背中。
男を感じさせる広背筋にネイルを食いこませて、強い快感に耐える。
二度のおあずけによって上昇と降下を繰りかえした快楽の波は、いとも簡単にその頂へと私を誘った。
「も、だめ、……っ英くん」
自分が自分でなくなっていくような。
思考が溶けて、視界が蕩けて。
何もかもどうでもよくなってしまう。
今はただ、彼だけを。
大好きな大好きな英くんだけを感じて、その腕のなかできもちよさに浸っていたい。
そんなことを漠然と考えながら、私は、彼とおなじ最果てへと堕ちていくのであった。