第16章 遊戯(R18:国見英)
(ね、声かけてみよっか?)
(みよみよ、メアド渡そ!)
優越感のような。
やきもちのような。
妙なきもち。
胸のあたりがモヤモヤする。
「あのー……、私も注文、を」
踵を浮かせてひょこひょこ。
自分の存在をアピールするためにショーケースから顔を覗かせてみるのだけれど、店員のお姉さんたちはまるで無視。
いや、無視ではないのかもしれないけれど。本当に気付いてないだけなのかもしれないけれど。
私が小さすぎて。
「絢香、とろい、アイス溶ける」
そのとき、だった。
何度注文しようとしても気付いてもらえないので、大好きなメルティショコラを諦めようとしていた。
そんなときだった。
背後から英くんの声がしたのだ。
同時にどすっ!という重たい衝撃。
「ぎゃっ! いたい!」
どうやらチョップされたらしい。
それもなかなかの強さで。
視界に星くずが散ったのかと思うくらい痛かった。でも、そのおかげで店員さんに気付いてもらうことができた。
ちょっと、ううん。
だいぶ腑に落ちないけれどもね。