第16章 遊戯(R18:国見英)
英くんはすごいなあ、と思う。
あんなに目立つ集団──青城男子バレーボール部は才能と個性のるつぼだ──に属しているにも関わらず、ちゃんと存在感を発しているのだから。
「俺はこれ、にする」
「ナッツキャラメリゼ?」
「うん」
アイスクリームの七色。
お行儀よくショーケースのなかで並んで凍ってる。パッションピンクの味見用スプーンは大輪のお花。どれもきれい。なのに、ほら。
やっぱり英くんが一番きれい。
こんなにキラキラした空間にいるのに、少しも引けをとることなく輝いているのだ。
「すいません、これダブルで」
キャラメル色のアイスを指差したまま注文する英くん、を見てほっぺたを赤くしている店員さん。
アイスをスクープするときも、トッピングのホイップクリームを絞るときも、英くんからその視線をそらさない。
(ちょ、やばーい)
(あの子超イケメン)
(あれ青城の制服だよね?)
(マジリアル王子様!)
ショーケースの向こうから聞こえてくる内緒のお話は、全然内緒ではなくて。
明らかに英くんに聞こえるように会話が成されているのだけれど、彼はそんなのちっとも気にしない。
アイスに夢中なんだもん。
普段とほとんど表情変わってないけど、私にはわかる。
だって瞳が嬉しそう。