• テキストサイズ

(R18) 行かないで青春 (HQ)

第15章 禁忌(R18:岩泉一)




「え、うそ、先生なの?」

「瀬野、お前なあ、ナンパ野郎相手にそんな弱気でどうすんだ。断るならもっとガツンといけ、ガツンと」

「は? ……はあ!?」

「ナンパ野郎が近づいてきたら、こう、急所か喉元狙って一発食らわせてやんだよ。んで即効警察呼べ」


 分かったか?

 大真面目な顔でナンパ撃退法を説明するサングラス男、改め岩泉先生は、護身術について語りながら歩きだす。

 ──その大きな手は、私の手首を掴んだままだ。

 商店街とは逆方面の道。
 景色が、どんどん流れていく。

 場末のスナックやパチンコ店、最近できたばかりのドラッグストアを通りすぎると、暗がりのなかに小さなコインパーキングが見えてきた。

 停まっている車は一台だけ。
 シルバーのセダン。

 彼の、岩泉先生の車だ。


「そういう訳でだな」


 キュイ、と電子音。
 車の鍵が開いた音。


「しっかり撃退しねえとナンパ野郎に食われちまうぞ?」


 おもむろに伸びた先生の手が後部座席のドアを開けて、そのまま、シートに私を押し倒す。





「こんな風に、な」





 またも耳元を撫ぜつける彼の、教師でいるときには絶対出さない声。甘い声。

 ピアスホールが熱い。

 狂ったように、──熱い。

/ 454ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp