第15章 禁忌(R18:岩泉一)
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午後八時──
二次会へと向かう門限ゆるい派の友人たちに別れを告げて、私は地元の駅まで帰ってきていた。
他には親超厳しい派や、そもそも門限とかない派などがあるが、ちなみに私は嘘ついて門限破る派である。
今日の打ちあげ用に「友達ん家に泊まるね」というベストな嘘を用意しておいたのだが、まさか、それを岩泉先生のために使うことになるなんて。
どうしよう。
超、超、緊張する。
大体そもそも何で先生はあんなこと言ったのか。今まで何度アプローチしたって毛ほども靡いてくれなかったのに。
この前ブラを見せたから?
まさか、本当にその気に?
う、わああ、もしそうだったとしたらどうしよう。私今日かわいい下着付けてるっけ。ああ、そうだ、先生が好きそうな白レース上下だから大丈夫。
生理は、まだ。
ゴム、持ってる。
いやでもそれは先生も持ってるよね。だって大人だし。
「──……って、そんなワケないか」
駅前商店街のアーケード。
古びた書店の看板が照らすコンクリートに立って、ふと我に返る。
あの、岩泉先生が私なんかに、生徒なんかに、手を出すワケがない。出してくれるはずがない。そんなこと。
「……とっくに分かってるのにね」
期待しちゃうよ。
だって、好きなんだもん。
好きな人にあんな声で囁かれたら、女の子なら誰だって期待する。でも、先生に限ってそれはない。