第2章 嗚呼、愛しのバーレスク!(R18:影山飛雄)
「そんなの、愛でも何でもないだろ」
ふわ、とした熱が私を包んだのは、その直後のことだった。
街灯ひとつない店の裏手。
従業員用のスタンド灰皿の横でしゃがみこんでいた私を、新人ホストのジャケットが抱き締めたのだ。
温かい。ブルガリブルーの香り。
「……でも、愛してた」
「そうか」
「彼のためなら死んでもいいと思ってた。好きだった。大好きだった……本当に、大好きだったの……っ」
「ん、そうか」
私の頭に置かれた手。大きな手。
名も知らないホストのそれは暖かく、心地よいリズムで頭をぽふぽふしてくれる。そうか。うん。そうか。彼はそう相槌をして、最後に、ジャケットごと私を抱き締めてくれた。
「泣きたいなら泣け」
「俺が受けとめる」
彼の力強い言葉が、優しくて。