第2章 嗚呼、愛しのバーレスク!(R18:影山飛雄)
「なん、で……?」
なんで、見ず知らずのホストにそんな説教をされなきゃならないのか。なんで、あの男の後輩に、憐憫に満ちた目で見られなきゃならないのか。
分からない。
分かりたくもない。
「……ない、……くせに」
「え、なに」
「なんにも知らないくせに!!!」
私は勢いよく立ち上がり、ウロボロスの紋様をあしらったドアを内側から蹴り破った。
ヘヴィメタルが流れる廊下を走り抜けて、カウンターで驚いている優の「絢香ちゃん!?」を無視して、そのまま店の裏手へと飛び出していく。
いやだ。
いやだ。
どうしてこんなことになっちゃったんだろう。どうして。私、どこで間違っちゃったのかな。
ホストに恋をしたから?
トオルに恋をしたから?
「そうよ、全部……アイツのせい」
本当はわかってるのにね。
「……恋をして、ひとり浮かれて、都合よく利用されてることも気付かずに、借金までして彼を愛した、……自分のせい」
私、本当にみじめだ。