第15章 禁忌(R18:岩泉一)
【scene4:Bullsxxt】
これが嘘ならどんなにいいか。
視界いっぱいに広がった光景を前にして、俺はただ、呆然とすることしか出来なかった。
昼食後すぐの応援合戦。
一組から順にパフォーマンスが発表されていくので、瀬野のいる白連は二番手である。
一組赤連のテーマは不死鳥だった。
燃えるような赤が校庭を埋めつくす姿は圧巻で、幻想的な音楽に合わせたダンスも観客を惹きつけた。
応援合戦には教師一人につき最高十点の審査点が加算されるので、俺たち教師陣はただ観覧しているだけという訳にもいかないのだが。
「きゃー! 絢香センパーイ!」
「キレー! こっち向いてー!」
「団長やばい! マジイケメン!」
「私のこともお姫様抱っこしてー!」
図らずも震える、指先。
審査シートに点数を書きこもうと握ったボールペンが、かたかたと小刻みに揺れている。
瀬野が女団長として選出されたのは知っていた。そして、その相手役に選ばれた男団長が【青城排球部エース】だということも、知っていた。
二組白連のテーマは純愛だ。
クラスカラーを生かした演舞であることは間違いないのだが、問題は、その衣装である。