第15章 禁忌(R18:岩泉一)
「もしかして熱中症ですか?」
「あー……いや、違えよ」
そんなこんなで現在。
八年振りに黄連に属することになった俺は、三年五組の副担任として生活する日々を送っていた。
金田一はまだ担当クラスがないため、救護と書かれた腕章をしているだけだ。しかし「もちろん黄連を応援します!」らしい。
相変わらず律儀な後輩である。
「少し日陰で休んだほうが」
「だーいじょぶだって、心配すんな」
「……でも、」
何度大丈夫だと言っても心配することをやめない金田一。
そんな彼を振りきるようにして束になったハチマキを半分持つと、俺は「ほら行くぞ」と告げて生徒たちの待機列へと歩きだした。
空照らす太陽。
それは、燦々と。
校庭を囲むようにして茂る青葉を煌めかせ、木陰の小さな雑草たちに濃い影を落としている。
一歩近付くごとに大きくなる歓談。
今まさに始まらんとしている祭への期待に、笑顔を弾けさせる生徒たち。
行儀よく整列した彼らにそれぞれのハチマキを配るなか、ふと、目を留めてしまうのはやはり彼女の横顔だった。
「アイツ生がいいとか言うんだよ!?」
「えー、それ彼氏失格じゃん」
「マジサイテー! ありえない!」
なんとも女子高生らしい会話。
所謂ガールズトークというやつか。
他愛ない話に花を咲かせている瀬野は、三年二組に所属していた。
クラスカラーは白。
話によると、彼女はどうやら白連の女団長に選出されているらしいのだが──