• テキストサイズ

(R18) 行かないで青春 (HQ)

第15章 禁忌(R18:岩泉一)





「だって先生に抱かれたいんだもん」



 これである。

 岩泉は頭痛すら覚えて嘆息した。

 第三学年を担当する彼にとって、三年二組に所属する彼女、瀬野絢香はかわいい教え子だ。

 その容姿が大人びていることは岩泉も認めるところではあるが、彼女はまだ高校生。それも自分が勤める学校の生徒だ。それが事実。

 たとえ岩泉に【その気】があったとしても、その事実は揺るがないのである。

 だからこそ、岩泉は困っていた。


「あほかボゲ! 冗談でも言っていいことと悪いことがあんだろうが!」


 彼は思う。

 俺だって男なのだ。女に抱いてくれと誘われたら下半身が疼くし、下着まで見せつけられたら理性が飛びそうになってしまう。

 それが教え子であったとしても、だ。

 しかし一線は越えられない。
 絶対に、越えてはならない。

 元来くそが付くほど真面目である岩泉は、社会的に定められたルールから逸脱することを決して良しとはしなかった。

 恋が、そして愛が、いとも容易く男女を狂わせるということも知らずに、彼は絢香の誘いを突っぱねる。


「冗談じゃないもん!」


 絢香は言った。

 私は生徒である前に女なのだと。先生にひとりの女として見てほしい。だから恥ずかしさを押しのけてまでセックスアピールをしている。

 そう語る彼女の瞳は、真剣そのものであった。

/ 454ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp