第14章 衝動(R18:花巻貴大)
「これ以上この女に付きまとったら、お前、川嶋だっけ? 俺たち正義レンジャーが成敗してやるから覚えとけよ」
低く凄んでみせて言う。
いまいち迫力に欠けるけど、でもこれが俺にできる精一杯。
生徒の未来は奪えない。
そんな瀬野の優しさに最大限配慮した結果がこれだ。警察には頼れないし、呼び出してブン殴るわけにもいかない。
だが、勝算はある。
『……は、何だそれ、ダッサ』
予想通りの反応を見せる川嶋。
マジで生意気なクソガキだと思うが、ここはグッと我慢して大人の余裕を見せてやろうじゃないか。
食らうがいい。
これが、俺の必殺技だ。
「言っとくけどピンクはバイだぞ」
『──……え?』
「ピンクレンジャーのおっさんはバイセクシャルだっつったの。お前の顔タイプだって言ってたし、せいぜい夜道には気を付けるんだな」
短い沈黙、のち、平謝り。
俺のとっておきの【口撃】を食らったストーカー男は、すみませんでした、勘弁してください、そう何度も謝罪を繰り返していた。
これにて一件落着。
Vサインを掲げて。
瀬野を見て。
俺が口端を上げて笑ってみせると、彼女も、ようやく笑ってくれた。
腹を抱えた大爆笑だったけど。
まあ、結果オーライである。