第14章 衝動(R18:花巻貴大)
「いいから俺に任せとけ」
「──……貴、大」
「何があっても俺が護るから」
俺はもう、あの頃の俺じゃない。
瀬野のことが好きだという気持ちは変わらないけれど、色んなことが変わったし、この手で変えてきたんだ。
俺はもう高校生じゃない。
及川と自分を比べて劣等感に苛まれてた、臆病なチキン野郎はもういない。
もし、もしも、いま現在の瀬野に恋人がいたとしても俺は言う。この再会を逃したら、もう二度とチャンスなんてない。自分の気持ちから逃げるのは、もうやめる。
だから視線を背けずに、──言え。
「護りたいんだ、お前を」
昔も、今も、これからもずっと。
「好きだから、護りたい」
ギュッと握りしめる、彼女の手。
瀬野は心底驚いたといった様子で目を丸くして、パチクリと二回瞬きをして、最後にボンッと赤面した。
「っえ、す、な、たか、っ!?」
え、好き、何で、貴大。
慌てすぎてて何言ってるか分かんないけども、まあ大体そんなとこだろう。瀬野は焦ると言語力がとても残念になる。
ったく可愛くて仕方ない。
やっぱ好きだわ。
すげえ、好き。
改めてそう思う。
俺はその赤くなった頬に堪らずキスをしてしまいそうになって、でも、と寸前で思いとどまった。