第14章 衝動(R18:花巻貴大)
*
「お花巻、お前何やらかしたんだ」
「何もしてませんてマジで」
「嘘こいてねェで素直に白状しろ」
定期公演会も終盤に差しかかった頃。俺とタタさんは本日最後のショーケースに向けて、舞台袖にてスタンバイをしていた。
俺がレッドで、タタさんがピンク。
アクタースーツに身を包み、覆面マスクをしっかりと装着した俺たちはどこからどう見ても【ヒーロー】である。
中身はただのおっさんだけど。
「白状しねェとあれだぞ、お前、痛いこととか色々すんぞ? いいのか?」
「俺、痛いのも割りとイケますけど、出来ればきもちよくしてほしいス」
「あのな、そういうのは風俗のお姉ちゃんに言ってやれ。喜ぶぞたぶん」
全国のちびっ子が聞いたら絶望するレベルの下世話な会話をするレッドとピンク、こと、俺とタタさん。
そんな俺たちを、ひとりの男子生徒がこれでもかと見つめていた。
ダンスパフォーマンス科と書かれたTシャツを着ている彼は、他でもなく、さっき瀬野とキスをしていた男子生徒だ。