第13章 夜陰(R18:カレカノ理論Ⅱ)
鳴り響くクラクション。
「おい!」
「何やってんだテメエ!」
「死にてえのか!?」
私のせいで足止めを食らっている何台もの車。その運転手たち。四方八方で口々に怒鳴り声をあげる。
ああ、行かなくちゃ。
立ちあがって、歩くの。
それで彼のところへ。
光太郎の元へ、帰らなきゃ。
なのに足が動かない。
一歩も、歩くことができない。
「んだよこの女!」
「ラリッてんじゃねえの!?」
「さっさと退けよクソアマ!」
光太郎。
あなたに会いたい。
あなたの、声が聞きたい。
甘ったれで、強引で、うるさくて、でも愛に満ちたその声で──
「……っ助けて、……光太郎」
「──絢香!!?」
車も、人も、すべてが止まった世界の中心に響いたのは、彼の──……