第2章 嗚呼、愛しのバーレスク!(R18:影山飛雄)
「……い……オイって!」
しまった。つい。
相当険しい顔をしていたのだろう。新人くんが訝しげに私を見つめていた。
自分の上に跨った風俗嬢がこれでもかと眉間に皺を寄せていたのだから、当然といえば当然の反応である。
「アンタ、大丈夫か?」
「え……ああ、うん、大丈夫」
「……でも顔色が、」
「本当に大丈夫だから!」
ちょっと強めに否定すると、彼はそれ以上何も言わなかった。でもまっすぐに私を見ている。こちらの機嫌を伺っているのか。それとも単に見ているだけなのか。
まあ、別にどちらでもいいのだけれど、その大きな瞳でジッと見つめないでほしい。
こころが、過去が、見透かされてしまいそうで怖いから。
「あーあ、なんだか萎えちゃった」
「……そう、スか」
「舐めてよ、お兄さん」
「…………は?」
新人くんの心底驚いた、というような顔。そのまま数秒硬直して、それから、みるみる内に顔中が赤に染まっていく。茹でたタコみたいに。
じれったいな、もう。
一刻も早く忌まわしい【過去】から逃れたかった私は、これ見よがしに開脚してみせて、言う。
「私を興奮させて?」
刹那、新人くんの眼が淫欲に歪むのが分かった。