第13章 夜陰(R18:カレカノ理論Ⅱ)
「つーことで有難くいただきマス」
そのひと言を皮切りに、光太郎の手のひらが腹部に滑りこんでくる。
彼は体温が高い。
それはもちろん体表面にも反映されるので、ありていに言えば、光太郎の愛撫はすごく温かいのだ。
快感とは別の、きもちよさ。
心地のいい熱に目を閉じて、彼の首元に腕を回す。手よりも熱い首筋。その男らしいデコルテを、シルバーチェーンの首飾りが冷たく彩っている。
「…………っ、ん」
「絢香、声小さい」
もっと喘いで。
もっと善がって。
私の全身にリップを落として、光太郎がねだる。
相変わらず退廃的なリングを嵌めた左手は乳房を、何もつけていない右手は一番敏感なところを。
彼のすべてを以てして愛される。
俺を感じろ。
俺で感じろ。
そう、命じられる。
「あっ、ん、……光太郎」
彼を掻き抱くようにして、白く形のよい耳元に唇を寄せた。光太郎。吐息混じりにそう囁いて。
ふ、彼が笑んだ音。
「物欲しそうな声」
「………っ、」
「欲しいの? もう?」
好戦的な笑みに、溶ける琥珀。
光太郎のこの顔。
大好き、堪らなく好き。
「……ん、欲しい、あなたのことが」
珍しく素直にねだれば、心底嬉しそうに彼が笑む。カチャリ。ベルトのバックルを外す金属音がして、内腿に圧迫感。
彼の腰が、私の両脚を割った。
挿入を待ちわびる中心。
濡れそぼったそこが疼く。
光太郎がシガレットケースから取り出した避妊具は、彼曰く、パッケージがとても「かっけー」新作商品らしかった。