第2章 嗚呼、愛しのバーレスク!(R18:影山飛雄)
無言でプレイルームに入り、これまた無言でドアを閉めた。あらかじめ部屋に通されていた若いホスト、彼は床に正座したまま顔を上げない。
奇妙な沈黙に耐えられなくて、ベッドの淵へ大袈裟に腰を下ろす。
ドサッ、と大きな音がした。
「絢香」
「は?」
「名前、私の」
店指定のコスチュームであるボンテージ。その胸元から、自身の名刺を取り出して「ん」と差しだした。
ようやくぶつかる視線。
顔はまあ、悪くないと思う。
さすがは天下の王子様集団といったところか。なにが【Club Castle】だ。ああ、忌々しい。
「……絢香、さん、スか」
ラメ加工が施してある名刺、私の下着姿が印刷されたそれを、彼はまじまじと見つめている。
その頬は上気して赤い。
ついでに、呼吸も荒い。
プレイを始める前から興奮するのはいいとして、その既に兆してしまっている下半身はどうにかならないのだろうか。これだから男は、ことさら童貞は、イヤなのだ。