第12章 雪白(R18:菅原孝支)
鍋パってさ、楽しそうだよな。
一週間ほど前のある日。
そんなことを言いだしたのは旭だった。バラエティ番組でイケメン俳優が自分流アレンジ鍋を披露していて、無性に食べたくなったのが発端らしかった。
鍋パ、って何だ。
鍋パーティだべ?
部活帰りの坂道。
慣れ親しんだ風景のなか、気のおけない仲間たちと会話を交わした。よく晴れた星空の日のことだった。
絶対楽しいよな、鍋パ。
鍋なら俺は醤油ちゃんこがいい。
スンドゥブチゲ一択。
──鍋パ、やっちゃう?
そんな感じで今に至る。
絢香を誘ったのは俺のワガママ。
せっかく楽しいことするなら彼女と一緒がいいし、絢香はいつもひとりで夕飯食べてるし、なるべくなら寄り添っていたいし。
理由は挙げればキリがない。
キリがないんだけど、結局、そのどれもこれもが口実になってしまっているのも事実だった。
彼女といたいがための口実。
絢香と、同じ世界を共有したい。
そう言えば聞こえがいいので、そう言っておくことにする。本当はあわよくばお泊まりコースで更にその先にも大いに期待してるけれど、それは黙っておくことにする。
煩悩だだ漏れてると思うけど、多分。