第11章 灼熱(R18:牛島若利)
珠のようだ、と思った。
俺を必死で受け止めようとする絢香。熱を帯びたその額に乗る、まん丸の雫。
「あっ……ん、ぁっ……若、利」
汗ばんだ肌が擦れる。
互いの性器が絡みつき、求め合い、繋がれた悦びに背筋が震える。目頭が熱くなる。
泣いてる、のだろうか、俺は。
「……っ好きだ、絢香」
「私、も、……好き、っ」
絢香は泣いていた。
悲嘆に暮れて。
限りあるこの夜を憂いて。
俺も、恐らくは。
「私には、……っあなただけよ」
「分かってる」
「身体は離れても、心はずっと」
「ああ、分かってる……!」
分かってるよ。
痛いくらい。
だから、こんなにも悲しいんだ。
想い合うことがこんなに悲しいなんて、知らなかった。誰かを愛することがこんなに苦しいなんて、知らなかった。
知りたくなかった。
でも、教えてくれてありがとう。
愛すると誓おう。
「一生お前だけを」
「一生貴方だけを」
永遠に、この記憶を胸に。
辿りついた最果ての地。
共に迎えたのは最初で最後の悦び。脱力して惚ける絢香を抱きすくめて、俺は、この胸に誓ったのだった。
もう二度と彼女には会わない、と。