第10章 爪先にルージュを塗って (R18:赤葦京治)
「……っは、ぁ、絢香」
踏みにじれば踏みにじるほど、悦楽に歪んでいく冷眼。氷のように透明で美しいその顔が、私から与えられる快感に善がって堕ちていく。
あの、赤葦京治が。
私に下肢を蹂躙されて。
「あっ、ああっ……も、出る、」
女よりも艶やかに啼いているのだ。
なんて、煽情的な眺め。
これ以上の優越なんてない。
私が、──彼の女王様。
「イキたいの? もう?」
「ん、っうん、出した、い」
「なら強請りなさい、京治」
ねろりと舌舐めずりをして。
彼に見せつけるように。
私の口内で蠢めく赤を見つけた途端。
彼は眉根を寄せて、今宵最も切なげに、甘たらしい吐息を漏らす。
「……っお願、します」
「んん、声が小さい」
「お願いします、絢香の、……っ貴女の、口に、出させてくださ、い……っ」
「──上出来、いいわ」
イカせてあげる。
私はそう言うなり脚に力をこめた。彼の好きな先端だけを選んで虐めると、どうやら限界が近付いたらしい。
着衣のままだった自身を露出させて、彼が立ち上がる。そのまま私の後頭部を押さえると、陰茎を口内に含ませて熱い白濁を射精した。
「…………不味い」
笑みながら蔑んでみせる。
そんな私を見下ろす彼の眼差しは、どうしようもなく淫らで、恥辱に充ち満ちた悦色に染まっていた。