第9章 カレとカノジョの相対性理論 (R18:木兎光太郎)
抽送が繰り返されるたび、互いが昇りつめていくのが分かる。
初めての相手だとイケないことも多いけど、木兎さんとは驚くほど相性がいい。まさに、そう。まるで昔から肌を重ねていたみたいに。
分かるのだ。
彼のイイところが。
何をすれば喜んでくれるか、どこがきもちいいのか、手にとるように分かる。そしてそれは彼も同じ。
「……や、ああっ、そこ、んっ」
「ここが好き?」
「ん、好き、……っ木兎さん」
彼の背中に立てた爪。
強く喰いこませるほど、打ち付けられる熱がその激しさを増す。
「絢香、あのさ」
「…………っ?」
「光太郎、って、……呼んで?」
ひとつになった部分から聞こえる水音の合間に、ねだられた。なんて可愛らしい。彼からのお願い。
「──……っ、光、太郎」
おずおずと呼ぶ。
彼の名前。
「……すげえ、なんか懐かしい」
今日一番の嬉しそうな笑顔で微笑んでみせて彼は、光太郎は、私にキスをした。
深く、深く。
唇も肌も何もかも。
二人の繋がりが解けないようにとキツく結びついて、やがて、私たちは一緒に最果てへと到達する。
「絶対離さねえから」
「俺の女になって、絢香」
果てる寸前。
キスを離さずに言った光太郎の瞳は、今までに見たどんな黄金よりも強く、煌々として、この世のモノとは思えない輝きで燃えていた。