第9章 カレとカノジョの相対性理論 (R18:木兎光太郎)
「……っあ、……!」
太腿を撫であげられるのと同時に、フレアスカートが捲れて脚部が露出させられた。
そのままストッキングを下されて、ショーツ越しに木兎さんの体温を感じる。
つつ、と縦になぞられる溝。
ビクリと腰が脈打ってしまって、頬と目元に熱が集まってくる。恥ずかしさのあまり、咄嗟に内腿に力をこめる。
「脚、閉じてちゃ触れないだろ」
「……、だ、って」
「だってじゃないの、ほら開いて」
諭すような命令をする彼。
普段の低くてハツラツとした声色とは程遠い。静かで、官能的な響き。
そんな声でねだられたら、理性や羞恥なんて容易にどこかへ消えてしまう。従うから、もっと。そう願ってしまう。
もっと愛してほしい。
その声で、その瞳で。
「絢香、いい子、かわいい」
優しい言葉が耳を撫でた。
木兎さんの甘い声、すごく好き。蜂蜜のような瞳は、もっと好き。どうしてこんなに心地良いんだろう。
名前や存在だけじゃない。
私を抱いて包みこんでくれるこの熱さえも、私は、ずいぶんと前から知っているような気がする。
「……や、ぁ……っあん」
ショーツの隙間から蜜口に侵入をはじめた彼の、節だった指。退廃的なデザインのシルバーリングは、いつの間にか外されている。
俺、紳士だから。
そう笑んだ木兎さんの顔を思い出して、きゅん、と胸が小さな音を立てた気がした。