第9章 カレとカノジョの相対性理論 (R18:木兎光太郎)
彼のほうに引き寄せられて交わす口付け。運転席と助手席を隔てる肘掛けが腹部に当たって、それがどうしようもなく煩わしい。
奪われた唇は深く、熱く。
まるでずっとこうしたかったとでも言うかのように熱を求め、絡みあい、決して離れたくはないと繋がりを強くする。
お前が欲しい。
言葉がなくとも伝わってくる。口付けの激しさがそれを物語る。求められるがままに差しだして、奪われて、彼の手中へと堕ちていく。
キスだけなのに、こんな。
「ん、っは、……んぅ」
「絢香、もっと深く」
「んんっ……!」
こんなに感じるキス、したことない。
「──なあ、後ろ行こっか?」
有無を言わさぬその問いに、私は頷くことしかできなかった。いや、しなかった。私自身も求めているからだ。
彼に愛してほしいと願ってる。
木兎さんのことが、欲しい。
そして何より、彼に欲されているという事実が嬉しくてたまらない。お前が欲しい。そう訴えられることが、私にとっては何よりの快感だ。
どんな愛撫よりも、その果てにあるオーガズムよりも、淫らで、甘美な悦楽。
だからあなたのモノに、して。