第1章 キミは宇宙の音がする (R18:灰羽リエーフ)
私は、なんてことを。
なんてことをしてしまったのだろう。
彼を深く傷付けた。
自分の臆病さを「こうするしかない」などと宣って彼の優しさを、愛を、踏みにじった。こんな簡単なことに、今更気が付くなんて。
「……リエーフ、ごめんね、……ごめん、ごめんなさい……っ」
はらはらと涙をこぼす彼。
その広い背中に腕を回して、きつく、きつく、抱き締める。
ごめんね。
私がそう繰りかえす度にこくりと頷くリエーフは、しばらくすると落ちつきを取り戻した様子で目元を拭った。
すっかり腫れてしまった瞼の奥からジッ、と見つめられて、つい押し黙る。
「ゴメンだけじゃ、足りない」
彼はそれだけ言うと、額と額を合わせて私の瞳を覗きこんできた。
「ほら、言って……?」
「…………でも、」
「大丈夫。俺、何があっても離さない。離しません。距離なんか感じさせないほど愛してみせるから、だから、信じて、……絢香」