第1章 キミは宇宙の音がする (R18:灰羽リエーフ)
溢れんばかりの愛液に気付いたリエーフは、心底嬉しそうな顔をして口角を上げた。
蜜口に溜まったそれを指ですくい取り、わざとらしく小首を傾げてみせる。
「好きじゃないのに濡れるんだ」
「…………っ」
「身体は正直、スね」
もう、誤魔化せない。だけど素直にもなれない。言ってしまえば始まってしまう。始まってしまえば、いつか終わりがくる。
要するに、怖いのだ。
「絢香さん、……好き」
「ぁ、……ん、リエー、フ」
私はズルい女だろうか。
応える気がないくせに、拒絶する勇気もなくて、結局こうして彼を受け入れてしまっている。
のぼせた身体を理由にして、目の前の快感に溺れたフリをして、彼に抱かれる喜びに打ち震えている。
「…………挿れていい?」
ダメ、と言おうとして、しかし私は頷いていた。
これが最初で最後だから。だからせめて、思い出を。彼に愛された記憶(シルシ)をこの身体に刻みたかった。
本当に、私はズルい人間だと思う。