• テキストサイズ

(R18) 行かないで青春 (HQ)

第8章  おやつにバナナを含ませたい (R18:岩泉一)




「本当にごめんなさいいっ……!」


 自由時間も残すところ60分。

 絢香とチームメイト三人の【計画】を知った岩泉は、とりあえず男全員を砂浜に正座させていた。

 その異様な光景をみた女子生徒──松川を席替えに呼び出したとされる美人だが──彼女が慌てて絢香を呼びよせ、今に至る。

 絢香は地におでこを打ちつけん勢いで腰を折り、飛行機での一件を岩泉に謝罪していた。


「いや、別に怒ってねえけどよ」


 絢香を庇うようにして立っていた美人が、ほっ、と安堵したような顔をする。

 彼女もまた、この計画、鈍感な岩ちゃんに絢香ちゃんを意識させよう大作戦(命名:及川)の協力者だ。

 かねてより絢香の相談相手として話を聞いていた松川が、おもむろに立ち上がって足についた砂を払った。


「だってさ、よかったな絢香」


 その言葉が鶴のひと声となって、及川と花巻がドッとため息を吐く。


「んもー! 足痺れた!」

「砂熱っ、火傷するわマジで」

「ていうか、そもそも岩ちゃんが鈍感すぎるのが悪いんじゃんか!」


 腕組みして仁王立ちする岩泉。
 いまだ頭を下げつづける絢香。

 両者を交互にみて、及川がぷう、と両頬を膨らませた。岩泉渾身のグーパンを食らったせいで、彼の頭頂部はまだジンジンと痛みを訴えている。

/ 454ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp