第8章 おやつにバナナを含ませたい (R18:岩泉一)
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「及川、お前どっちがいい」
「んー、俺はお花柄かな」
燦々と降りそそぐ太陽光。
目が眩むような星屑の砂浜。
どこまでも、青い海。
ホテルの宿泊客専用に作られたプライベートビーチに、男子高校生たちが熱視線を注いでいた。絶景なんてそっちのけである。
「花柄、ってお前、予想通りかよ」
黒いビキニがなんともセクシーなお姉さんを見つめながら、花巻が言った。
「あの清純そうな子が泣いて縋って俺を求めるところが見てみたいって、俺はそう言ってるの」
しれっと衝撃発言をする及川に「下衆!」と花巻がツッコミを入れる。
松っつんは?
そう問われた松川はちょっとだけ考える素振りをみせてから、こう答えた。
「別に……俺は15歳超えてれば何でも」
シン、と思わず閉口する二人。
さすが松っつん。
スケールが違え。
及川と花巻は視線だけでそんな会話をして、再びお姉さんウォッチングに戻ることにした。
「……ああ、そういえば、」
そんな風に切り出したのは、他でもなく松川である。
青葉城西高校3年1組に属する彼は、とあるクラスメイト、瀬野絢香のことを思い起こしながら話を紡いだ。