第7章 少年期の終わりは時として (R18:日向翔陽)
奇妙な違和感を拭えないまま。
いつもより熱めにした湯船に全身をうずめて、私はさっきまでのことを思い返していた。
翔ちゃんの、あの眼。
まるで肉食獣のようだった。
これから食らう獲物を眼前にして、さて、一体どこから嬲ってやろうかと算段を立てているかのような。自分は捕食者なのだと、誇示するかのような──
食 い 散 ら か す ぞ
「──……っひ、……!」
無意識に悲鳴が漏れた。
幻聴?
いや違う。
そこにいる。
誰かいる。
そうじゃない。
誰か、じゃない。
外に跳ねた髪。
痩型のシルエット。
異常に白い、
バンッ!!!!
「キャッ──……!」
手のひらが。
真っ白なそれが。
バスルームと脱衣所を隔てる磨りガラスに、くっきりと、手形を浮かびあがらせる。怖い。怖い。どうして。
きゅ、きゅきゅ
奇妙な音を響かせて手形が移動していく。滑り落ちていく。ドアノブへと、少しずつ、近づいていく。
ガチャ
開かない。
ガチャ
鍵が閉まってる。
………
諦めた?
「部屋で 待 っ て る 」