• テキストサイズ

(R18) 行かないで青春 (HQ)

第7章  少年期の終わりは時として (R18:日向翔陽)




「……っぷ、あはははっ」

「そんなに笑わなくても!」


 宴会を終えたあと。

 近隣から訪れていた親戚の見送りを終えた私は、自室にて彼とおしゃべりに興じていた。

 六畳ほどの和室。
 壁際には背丈のない和モダンベッドと、物を雑多に収納しているタンスがある。


「ごめんごめん、だって、翔ちゃんってば可笑しいんだもん」


 公開プロポーズに焦りまくった彼は、アワアワとするあまりにビール瓶を倒し、寿司桶をひっくり返し、果てには叔父さんのカツラまでフッ飛ばしてしまったのだ。

 その惨劇といったらもう。

 空飛ぶカツラと白目をむく叔父さんの顔を思い出して、私はまたひとつ「ぷっ」と吹きだした。


「あーほら! また笑う!」


 ベッドに腰かける私の対面。

 なにも置かれていない壁際であぐらをかく彼、翔ちゃんは、座布団代わりのクッションを抱きしめていた。

 首元まで赤くして私を責めるが、その反応が可愛くてつい意地悪をしたくなってしまう。


「翔ちゃん、お顔が真っ赤」

「こっ、これは暑いからだし!」

「ええー? 本当かなあ?」


 本当だし!
 超暑いし!

 そう言ってむくれる翔ちゃんは、東北から遠路はるばるやってきた疲れなのか、目元に薄っすらとクマができているように見えた。

/ 454ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp