第2章 バンド、始めますか?
そうして連れてこられたのは世に言うアキバと言う所だった。
こんな所初めてな私にとって、少しの感動と、恐怖があった。
「山田は良くここに来るの?」
「2ヶ月に1回ぐらいだよ。
新しいゲームの発売日には並ばなきゃだから。」
そう言って私たちが入った店には長蛇の列があった。
「楓は並びたくないだろ?」
「いや、私もいるよ。
はぐれても仕方がないし。」
何よりもこんな所ではぐれたくないし。
.......
とは言ったものの…
既に1時間は経った。
「ごめんね、あとちょっとだから。」
「うん…」
相当足が疲れている。
山田がゲームを買い終わったときには、6時を回っていた。
「遅くなっちゃったな~
ごめんな。後1つ寄りたいところ行っても良い?」
「寄りたい…ところ?
まぁ、良いけど…お腹空いちゃったよ。」
「じゃあおすすめのところ行こうか。」
.......
山田に誘われたラーメン屋で夕飯を食べ終えると、少し歩くと、楽器店の前に来た。
「わぁ…ここの店…すごい広いし、品揃えも良いね…」
「前にドラムやってたから、ここで全部揃えたんだ。」
と、山田はギターを見始めた。
「ギター…買うの?」
「うん。楓の事見てたら、ギターやりたくなってきたし、前々からやりたかったからさ。」
私は、少し胸の鼓動の高鳴りを感じた。
「良いギターとか、選んでくれる?」
「もちろん!!
ついでに教えてあげるよ。」
「ありがとう。」
そうやって笑った山田の事を本当に好きなんだと、その時気付いた。
.......
ギターを教えるのは難しくない。
指で弦を押さえて、ピックで弾くだけだ。
それに、山田はゲーセンでもやってるせいか飲み込みがすごく良かった。
「こっちがGコード、これがC。分かった?」
「ちょっと難しいな。
ゲームとは違うのは分かってたけど…指吊りそうだよ。」
「私ができるんだから、山田にだって出来るわよ。
ほら!早く次々!!」
「きゅ、休憩…」
「櫛原先生に休憩等ない!!
さぁ!!さっきの続きからだ!!」
こうしているのが、心から楽しかった。
だが、今日はまだ話さなくてはならないことが1つあった。