第2章 バンド、始めますか?
私が山田の家に居候し始めてから、1ヶ月くらい経っただろうか。
私は文化祭の為の曲作りをしていた。
「楓~」
「お~どうした、璋子。」
冴木璋子、COLORPENのメインギターだ。
ギターで言えば璋子の方が何百倍も上手い。
「何々?文化祭の曲?」
「あぁ…まぁね。なかなか良いフレーズ思い浮かばなくてさー。」
「それより、山田の家に居候してるんでしょ?」
「な、何で知ってんのよ。」
「まぁ、2人とも急に仲良くなってるし、家に入ってるの見たって人もいるからね~」
少し恥ずかしくなって、ギターと楽譜に目を戻した。
「やっぱり山田の事好きなんだ。」
「な、何でそうなるのよ!!」
「だって、楓は気付いてないかもだけど、あいつと話してるときの楓、すっごい楽しそうなんだもん。そりゃ気づいちゃうっての。」
「はぁ…ねぇ、璋子の他に誰が気づいてるかな?」
「まぁ少なくとも、美南と有美は気付いてると思うよ。」
「…はぁ…バレてないと思ってたんだけどなぁ~」
「それよりも!
山田に楓が居候してる理由話したの?」
「あ、忘れてた~」
「もう1ヶ月経ってるんだし、今日中に話さなきゃダメだよ?」
「はぁ~い。」
ホントに璋子は私のお姉ちゃんみたいだ。
一応メロディ調整を少しやって教室に戻ると、山田が机でゲームをしながら眠っていたのを見つけた。
「おーい、山田~
ゲーム落ちちゃうよ~?」
「んぅ…楓…」
「な、何?…」
「…くぅ…」
「寝てんのかい!!起きろや!!」
頭を軽くはたくと山田は起き上がった。
「はっ!!今何時だ!!」
「え?4時半だけど。」
「ちょっと付き合って!!」
「え!?付き合ってだなんて…まだはやって、腕引っ張るなぁ!!」
「今日発売のゲームがあるんだ!!それを買いに行かなくちゃ!!」
「はぁ、やっぱそうだよね~」
小さな声で残念そうにそう呟いた。