第1章 突然の居候!?
櫛原とは2年連続で同じクラスだ。
とは言うものの、話したのは今日が久し振りなぐらいで接点と言えばゲーセンのギターを一緒にやったぐらいだった。
「山田、今日の世界史の教科書見せてよ。」
「何?忘れたの?」
「だってさ、昨日は山田が家に帰してくれなかった訳だし…」
「ご、誤解を招くようなことを言うな!!見せてやるから…」
丁度席が隣だったこともあって、机同士を着ければ見せることは簡単だった。
と、小さな紙切れを机越しに渡してきた。
『ばーか』
この女はなにをしたいのかと思いながらじっと顔を見ていると、櫛原はふわりと笑った。
その笑顔が少しドキッとさせた。
「山田君!櫛原さん!喋ってるなら廊下に立ってなさい!!」
先生に注意された結果、見事に廊下に二人ぼっち。
「あーあ、山田のせいで私まで立たされちゃったじゃん。」
「お、俺のせいかよ!!
お前がバカ何て言ってくるから!!」
「嘘だよ。でもさ…ありがとね、山田。」
「なにが?家の事なら気にすんなよ。泊まる宛のない女子を放り出す趣味はないしな。」
「サンキュー。あ、でも山田が寝込みを襲ったり…」
「そ、そんなことするわけ無いだろ!!?」
そう大声で叫んだ瞬間、先生がまた俺たちを一喝した。
.......
「はぁー疲れちゃったよ。」
「主に櫛原のせいだけどな。」
「あたしじゃないし。山田が変なこと言うからだし。」
こうやって嘘臭い嘘を普通にこいつはつけるのである。
「なぁ櫛原、お前何か好きな食べ物あるか?」
「楓でいいよ、そうだな~
餃子が好きだよ。」
「餃子か~…まぁ作れないこともないし、今日は餃子にしてやるよ。」
「まじ!?山田って案外優しいんだな!!」
今日朝飯を作ったのは優しさには入ってないのか…
そんなことを思いながら、家の近くのラーメン屋のおっちゃんの所に寄った。
「お!夏生が今日は女連れか?!」
「こいつはただ、家の居候だよ。」
「何だよ、で、いつものやつか?」
「うん。2つ分な。」
「あいよ。今日は俺の奢りで良いから、早く彼女に帰って飯でも作ってやりな。」
「だから!!」
このおっちゃんにはいつも世話になっている。
だからこんだけ緩いんだ。