第1章 突然の居候!?
朝、いつもより早く起きる。
親が出張でいないのは案外不便なものだ。
ご飯も作らなくてはいけない。家事も全て自分でやらなくてはいけない。
「高校生にこれは辛いよ…」
ポツリと愚痴をこぼしながら朝飯を作り始める。
テレビでは相変わらず事件のニュースばかりで、朝から気分が悪くなる。
「あらあら、そんなに険しい顔して、どうかしたの?山田。」
「どうしたもこうしたも、朝からこんな事件のニュースばかり聞いてて気分の良くなるやつなんて…は?」
俺は声のした方をゆっくりと振り返った。
「おっす!鍵空いてたから、勝手に入ったよ。」
「く、くくく櫛原!!
おまま、お前!何で俺の家を!」
「年賀状、貰ったからさ。
それに、家にいれる状況じゃなくなっちゃってさ。」
鍵と住所の件は見過ごそう。
俺のせいなのだから。
だが、それでも納得がいかない事がある。
「何で俺の家に来たんだ。」
「…いやね~、私がギターばっかりやってたら親怒っちゃってさ~
それで宛が山田の家ぐらいしかなくてさ~」
事情はおおかた理解した。
だが半分は、いや、殆ど嘘だとは思うが、
今は家に俺しかいないわけだし、家事も半減するってもんだ。
「とりあえず、まだ時間はあるから風呂でシャワーでも浴びてきなよ。
飯を作っといてあげるから。」
「サンキュー、気利くじゃん!!」
学校までモノレールでせいぜい10分と少し。
俺は自分の飯を食べ終えると、櫛原の分も作り始めていた。