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山田君の苦悩

第5章 秋の夜長は君と。


「え?…父さん今なんて?
つか、探偵?」

「だから、俺達はある夫婦が重要な情報を知っていると聞き、暫く海外で張り込みをしていたんだ。」

「その二人は、櫛原雪路、真由美って言ってたから…」

私は耳を疑った。

「それ…うちの両親です…」

「やっぱりか…今二人は日本政府が保護しているらしくてな。」

「え…じゃあ楓の両親見つかってるってこと?」

信じる信じられるじゃなかった。
お母さんはそんな事一言も言わなかった。
お父さんもただただ笑ってた。
そんな二人が逃亡者になっていたなんて…

「楓?大丈夫?」

「う、うん…ちょっと整理してただけだから…」

「楓さん、俺達は何も楓さんの両親が犯罪をして逃亡してたなんてこたぁ思ってないんだ。
日本政府が保護したからには、もうすぐ会えるようになるさ。」

「…良かった…」

体の力が抜けて、ガクガクしながら涙が溢れた。

「なっちゃん、楓ちゃんを寝かせてきたら?今日は休みだし、お母さん達が買い物行ってくるから。」

「分かった。さ、楓?」

コクリと頷いて私は夏生と部屋に戻った。

「全く、国も何を考えてんだか分からなくなってきたな、桃子さん。」

「そうね…無事なはずだけど…」
........

部屋に運ばれて、私はベッドに座らされた。
泣き止まない私のそばに夏生は手を繋いでいてくれた。

「夏生…?」

「ん?何?」

「ありがと…今度は秋斗君の方だね。」

「…楓…」

「絶対に見つけるから。
秋斗君の手がかり。」

「…ありがと…でもね…一つ質問してもいい?」

「え?うん…良いけど…」

夏生は少し黙って口を開いた。

「正直、秋斗の事は考え直してるところなんだ、」

「な、何でよ、どうかしたの?
何かあった?」

「今、俺の大切な人は誰だと思う?」

「…それは…」

「何より楓が一番大切なんだよ。
楓の為に何でもできるし、何だってしてあげたい。」

「ちょっと、何言ってんのよ。」

と、冗談だろうとほのめかそうとすると夏生は私に乗り掛かるようにしてベッドに押し倒してきた。
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