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山田君の苦悩

第5章 秋の夜長は君と。


そして、俺は何とも言えない危機感を身に覚えながらベッドに座っていた。
まだ楓は母さん達と話をしていて上がってこない。

「しかしまぁ、俺は布団で寝れば良いけど…」

そんなに我慢の効かない奴だと思った事はそうないが、何せ彼女が自分の部屋で、しかもいつも寝てるベッドで寝るんだ。
緊張しない方がおかしい。

「今日はゲームしないの?」

「わっ!!びっくりした…」

髪がまだ半乾きな楓が寝巻きを着ていつの間にかそこにいた。
様子を見るからに風呂上がりだろう。

「今日はもうやり終わったよ。
それより、俺廊下で寝ようか?」
「良いよ…せっかくだし、一緒に寝ない?」

「…え?…俺だって男だから…そんなに我慢効かないよ。」

「大丈夫だって!!襲ってきたら私が蹴っ飛ばしてやるから!!」

楓は笑顔でそう言った。

........

「じゃあ、電気消すよ。」

「うん…おやすみ。」

パチリと一気に豆電球まで暗くした。

「え、それ消しちゃうの?」

「もしかして、暗いと寝れないとか?」

「…うん。だから…手、繋いで?」

「…可愛いんだな。そうゆうとこ、初めて見たかも。」

「う、うるさいなぁ…ほら…」

布団の中で差し出された手をそっと握る。

「これで安心する?」

「うん…」

暗闇にだんだんと目が慣れてきて、楓の顔が近くにあることを理解した。
ふと、楓の目が開き、俺たちは見つめあった。

「ご、ごめん…」

「ねぇ…夏生…こんなに近くにいること…そうないよ?」

そう言うと楓は足を絡ませてきて、更に近づいてきた。

「…俺、今持ってないし…母さん達も隣にいるし…」

「良いよ…そんなこと…私は夏生が…初めてが…いい」

二人とも吐息が荒くなってきて、理性も無くなりつつある。

「かえで…」

柔らかくそう呼び、唇を塞いだ。
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