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山田君の苦悩

第4章 Summer Lover


アウトレットに付くと色んなフロアがあったが、私には一刻も早く向かわなければ行けない所があった。

「ちょ、楓?」

「早く行かないと可愛くて良いサイズのは直ぐに無くなるのよ!!」

とにかく急がなければ…

.......

「やって来たぞ…下着売り場…」

何とか夏生を撒いて下着売り場にやって来たが、
やはりここは私の来るべき所ではなかった。

「えっと…Cは…あった!!夏生は…何色が好きかな…って、違う違う…」

「俺がどうかした?」

「ひゃ!!夏生!!どうしてここにいんのよ!!」

「見失っちゃって、探してたらここにいたから。」

何食わぬ顔でいるが、ここは下着売り場である。

「夏生、エッチだなぁ~
こんなとこ来て。
私の着替えでも見たかったのか?」

「ち、違う!!…でも、その色、似合うかな~なんて…」

夏生は今私が持っていた色を指差していった。

「そ、そう…じゃあ買ってくるね!!」

気分を踊らせながらレジで会計を済ませた。

「夏生、待った?」

「大丈夫。ご飯食べに行こうか?」

「うん!!ご飯、ご飯~」

「元気だね…」

その時も私達の手は固く握られていた。

.......

夕暮れになると海水浴場も賑わいを無くし、夕日が地平線を沈んでいく。

「綺麗な夕日だね…」

「うん、今度は水着取ってくるから…一緒に行こうね。」

「そうだな…でも、俺補習あるからな…」

夏生はがくりと項垂れた。

「だ、大丈夫だよ!!
私も付き合うからさ!!」

言ってしまった。
確か補習は明日のはず…

明日から学校に行かなくてはならなくなってしまった。

「ありがとな。」

夏生がふと見せるその笑顔が私を強く惹き付ける。
隠しようが無いほど夏生の事が好きなんだ。

「好きよ、夏生…」

「え?…」

「なに?何か言ってた?」

「今好きって…」

「…っ!!嘘嘘!!違うの!!」

「楓って、口に出ちゃうんだ。」
少し恥ずかしくなって、手を強く握りしめた。

「イテテテ…ちょ、楓!!痛いって!!」

「今日はお仕置きタイムだわね。」

「ひゃー!!」

夕日が私達の影を照らしているなか、走って帰るはめになった。
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