• テキストサイズ

山田君の苦悩

第4章 Summer Lover


7月の終わり。
朝の日差しが眩しくて目を覚ますと、カーテンを開けていた夏生が私の方を見ていた。

「おはよう。ご飯何が良い?」

「ん…おはよう…」

目を擦り、体を起こした。

「パンが良い…」

私は寝起きがめっぽう弱い。
ので、遅刻することも度々…

机に付くと、既に食パンと目玉焼きとベーコンが皿に乗って私を待っていた。

「今日はバンドの練習無いの?」

「うん。しばらくは活動無いよ。」

「でも、服取ってこなくて良いの?
もう夏だし。」

「私服は良いんだけど…いろいろサイズ合わなくて、買いに行きたいんだけど…」

「まぁ良いんじゃん?
相変わらず父さんからは過度な仕送りが来てるし。」

前に夏生は電話で私の事を話していた。
お父さんは快諾だったが、お母さんが猛反対したらしい。

でも、今夏生の家に住まわせて貰っているのは、単に夏生のお陰なんだ。

「じゃあご飯食べたら出掛けよっか。」

「うん!」

.......

「それで?何処の服屋に行く?」
さぁ困ったものだ。
流石に付き合って一月の彼氏に、女性用品を買いたいなど私が言えるわけがなかった。
まぁ他の女子も言えないだろうが…

「え、えっと…あ、アウトレットでも行こうか。」

「そこなら安いか。
じゃあ近いし歩いていこうか。」

私達の住むところは、歩いてすぐのところに海がある。
その海は言うまでもなく観光名所になっていて、海水浴に来る人々で軋み合う。

「水着持ってくれば良かった。」

「海、行ったことあんの?」

「うん、前にお母さんとね…」
遠く、水平線を見つめて歩いた。

「なぁ、楓?」

「ん、な、何?」

「手、繋ごうよ。」

「はぁ!?は、恥ずかしいよ!!」
「まわりだってやってるから、大丈夫だよ。な?」

渋々辺りを見回すと、そこら中水着のカップルでごった返していた。

「しょうがないな…」

「ありがと。」

ここ最近ずっとそうだ。
いつも夏生にリードを取られる。
私は、いつも照れっぱなしで何だかおかしい。
/ 34ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp