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山田君の苦悩

第3章 君の奏でる狂想曲


1日目。
午後。

待ち合わせの場所でいくら待っても楓は来ない。

「何やってんだよ。」

「やまだー!!ごめーん。」

「またバンド?」

「あぁ、今日初ライブだから、一応合わせておかなきゃだったから…」

息が切れるほど走ったんだ、多目に見てやろう。

「まずは何処に行く?」

「まずは飯だ飯!!」

「お前はおやじか!!」

が、空腹を抑えられる訳無く、直ぐ様食堂に入った。

.......

「冴木から中ノ原、二人は食堂に入った模様です。どうぞ。」

『中ノ原から冴木、そのまま尾行を続けろ。』

「ねぇ、こんなことして良いのかなぁ?」

「榊隊員!!上官の命令は絶対であるぞ!!」

「はぁ…楓、あたしじゃこのアホ達は止めらんないわ…」

3人は食堂の外の窓からこっちを見ていた。

「わぁ…隊長、楓がすっごい笑ってるであります。」

「璋子ちゃん…キャラが崩壊してるよ。」

「榊隊員!!貴様も観察をしたまえ。」

「何で有美までこんなことに…」

.......

「じゃあ次こそどっか行くだろ?」

「うーん、お化け屋敷行こうか。」

「よし、3年2組だな。」

お化け屋敷は学校の一番隅の教室、しかも理科講義室にあった。

「す、すっごいリアルだね…山田…」

「も、もしかして…ビビってないよな?楓。」

「び、びびびびビビってなんか無いし!ほら、早く入るよ!!」

その威勢は、出てきた時にはすっかり無くなっていた。

「あぁ…何で追っかけてくんのよアイツ…」

「ハァ、ハァ…確かにここは怖かったな。」

ふと、平常心に戻ると楓の腕が俺の腕を掴んでいた。

「あ、ごごごめん!!」

「大丈夫だよ…そんなに怖かったの?」

「う、うん…」

「何か乙女じゃん。」

「う、うるさいわ!!」

それから俺達は色んな所を回った。
アイスに焼きそば、アトラクション。
終いには尾行されていたはずの中ノ原小隊を逆に尾行していた。
そうしていたら、もう5時と、閉幕式も近くなっていた。

「そういや、ライブ何時からなの?」

「ん?あ!!いっけね!!あと30分じゃん!!」

「ほら、急げよ。野外ステージなんだろ?」

「うん。悪いね。。」

楓は少し走ると急に戻ってきた。

「ライブ、絶対来いよ!?」

「あぁ、分かってる。」

そう約束を交わして、楓は部室に走っていった。
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