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山田君の苦悩

第3章 君の奏でる狂想曲


「皆盛り上がってるか~!!」

「おぉ~!!」

「今日は文化祭初日!!
校内公開だからって、手は抜けないからなー!!」

体育館は最早ライブ会場のような騒がしさだった。
そう。今日は俺たちの高校の文化祭1日目。
皆準備に力を入れてきた分気合いの入り方も異常だった。

「山田、今日は当番何時から?」

「確か今日の午前と、明日の昼だよ。」

「私と一緒じゃん。」

「あれ、楓もそうだっけ?
俺厨房にいるから気にしてなかったよ。」

「でさ、もし良かったら…今日明日、一緒に回らない?」

「え…どうしてまた俺なんだ?」

「すっごい言いずらいんだけど、私以外のCOLORPENのメンバー彼氏いてね、そいつらと回るらしくてさ。余っちゃったんだよ。」

「いいよ。どうせ俺も一人だったし。」

「マジで!?サンキュー!!じゃあ、午前の部終わったら待っててよ?」

そう言ってまだ開会前言も終わってないのに楓は体育館を飛び出していった。

「…何かいいな…こうゆうの。」

そう言って頬が緩んだのに俺は気づかずにいた。

クラスでの仕事は、基本的に料理を作ることで、メニューはファミレスと同じぐらいあるため忙しい。
その為、楓のメイド服は見れないかもしれない。


「山田、今大丈夫か…?」

「あぁ、どうかした?」

「えっと…せっかくメイド服着たから…見せてやろーかなーって。」

そこに立っていた楓はヒラヒラしたメイド服に身を包んでいた。

「な、何とか言いなさいよ。」
「い、いや…き、綺麗だと思うよ。」

実際、じっくり見たいところだが、あんまり見て気持ち悪がられるのは嫌なので普通に褒めた。

「そ、そっか…良かった。」

少し頬を紅に染めた彼女は心なしか、喜んでいた。

「じゃあ接客行ってくるわ!!」

「ちゃんと笑えよ~?」

「言われなくたってやるわよ。」

その振り返った時の仕草が俺の脳裏から離れなかった。

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