第2章 アルコール・キッス
「あ、あのね白龍、話があるの。はいってもいい?」
私はいま、白龍にとある大事な話をするため、彼の部屋の前に居る。
「…どうぞ」
控えめな返事が返ってきた。
そっと扉をあけ、入って後ろ手に閉める。
顔を上げると、椅子から立ち上がって武器である槍を壁にたてかける彼がみえた。
武器の手入れをしていたのだろう。
彼の後姿を眺めながら、改めて思う。
私はこの人が好き。
今晩はその話をするためにここに来たのだ。
ぼんやり見つめていたら、「そんな所に立っていないでどうぞ座ってください」と椅子をすすめられた。
ふらふらと歩みより、絨毯につまづく。そして転ぶ寸前に支えられる。
「……どうしたんですか。すごい、あの…酒の匂いがしますよ」
そうなのだ。告白をするのに、ちょっと勇気がほしくって、酒を呑んだ。
「こうでもしないと、言えないと、思ったの」
力の入らない手であたたかな彼の腕に縋り付きながらまわらない頭で言葉を紡ぐ。
ああ、これは呑みすぎたかも。
ふわりと顔を上げると、目が合った。明かりがそんなに煌々としていないからよくわからないが、彼の頬がこころなしか赤い気がする。
男の子にしては白い肌に、うすくてあかいくちびるが映える。
吸い寄せられるように唇をかさね、意識を手放した。