第2章 アルコール・キッス
「はっっ!!!!!」
ガバリと起き上がる。
今しがたとんでもない夢を見てしまった。
酒の勢いで告白をする前にキスしてしまう夢。
最低だ。最低おんなだ。夢でよかった!!!
「夢じゃないですよ」
横に白龍が添い寝していた。
「なっななななんで」
「なんでもなにもここ、俺の部屋ですからね」
すまし顔で言って、白龍も起き上がる。
が、寝台の上から退く気配はない。
「あ、あの、あの、ゆ、夢じゃないって」
しどろもどろになりながら聞く。
「夢じゃないですよ。貴女は呑んだくれ状態で俺の部屋に来て、俺にキスして、そのまま寝ました」
「……………ごめん」
頭を抱える私。
なんてサイテーな女だわたしは!!!相手の心も聞かずにキスしてしまうなんて…。
前回の中庭でのあれは、彼が眠っていたのでノーカンとする。
「それは何に対してのごめんですか」
「……話もせずに、キスしてしまったこと…」
気持ち悪かったでしょう。
そう続けようとしたら、視界がぐるり反転した。
「ん?」
「確かに驚きましたが。気持ちを伝えるには確かでわかりやすい方法ですね。しかも酔っていながらも俺と認識していたようだから、間違いでもないでしょう」
白龍に押し倒されていた。
「白龍?」
「しかし感心しませんね。夜に酔った状態で男の部屋へ来て、あまつさえあんなキスをしていくのは」
「おーい?」
「まぁ…貴女のことですし?覚悟はできてるんですよね。」
話がどんどんおかしい方向へ向かっている気がするのは私だけ?
「白龍くんとりあえず私の上からどきたまへ」
「いやです」
「レディの上に乗っかり続けるのはどうかと思うのですけど?」
「今は別でしょう」
「いまって」
「今は今です。」
「また今度じゃだめかな」
「あなたが寝ている間どれだけ俺が据え膳を食わされたと思いますか」
「…………………」
「我慢できません」
「ちょ」
この展開はまずいぞ。
いや、それより私ここにきた目的をまだ果たせてない。
「白龍!」