第1章 おひるね
「ふふ。これからが楽しみだなぁ。」
エルも去り、一人になった中庭で、アラジンはひとりごちた。
「白龍おにいさんもおにいさんだよね。あんな、」
中庭から去るときの、白龍の表情を思い出す。
「真っ赤な顔しちゃって。エルおねえさんから見えていたらすぐにばれちゃってたと思うけどなぁ。」
エルが彼に想いを伝える場面に居合わせられたらいいな、なんて思いつつ、アラジンも二人の仲間の元へ戻ろうと、中庭を後にするのだった。
(された瞬間は眠りかけててなにも考えられなかったけど)
(今思い返してみると)
(絶対に唇にキスをされていた!)
とある思春期男子が悶々と一夜を過ごしたのは、また別のお話。